寄木は江戸時代後期、箱根畑宿に興った独特の工芸技術です。その名の由来は、それぞれが持つ材色や木目を生かしながら、それらの組み合わせで精緻且つ幾何学的な日本の伝統文様を「木」で「寄」せることからきています。この材色や木目の違いを利用して文様を表現する技法そのものは正倉院宝物の木画箱などにもその源流を見い出せるとも言われている、新しいようで古いような技術です。
非常に多くの樹種を用いる寄木細工、木のもつ天然の色合いの豊富さには驚かされます。白色系から赤色系、緑色系、褐色系、そして黒色系まで、材色と文様とを掛け合わせるとそのパターンは無限大。しかし木材の自然な色合いと木肌が重要とはいっても、その美しさを決定づけるのは手仕事です。手鋸(てのこ)で文様の元になる部材を作り、鉋(かんな)で微調整を重ね、それらを幾つも合わせ接着し切断をする…部材の集合体である種木をいかに正確な幾何学模様にまとめあげ、鉋で薄く削り取るのか。
自然の木が織り成す幾何学模様の美しさに、私たちは今も昔も惹きこまれるのです。

